茶屋主人のひとりごと
第五回


茶屋主人のひとりごと(5)

ルパン連載第一回を終えてみて
このたび「漫画アクション・ルパン特集号」ではじめて雑誌漫画を描いてみたわけですが、いくつか気がついたことがありますので、それらを順不同で書いておきます。

ストーリー:は全面的に私に任され、モンキーさんも編集者も最大限私の意図を尊重した形での助言に終始されたことを、心から感謝しています。私としては大枠で原作の約束ごとを守りながら「ある日のルパン」ののんびりとした日常をイメージしつつ、自分にとって馴染みのあるアニメーションの学校に迷い込んだスケッチを描いてみて、そこで専門学校生に出会うところからはじめて、次にその前後と、騒動を起こす若者(「敵」ではありません)とルパンの関係をエスカレートさせて、ラストで真面目一筋だが配置転換されているらしい銭形に移して、後半の話のお膳立てをしておきました。ロイヤル・エッグや地下室の下の大きな地下道などはずっとあとになって思いついたもので、コスプレにいたっては最後の最後にに付け加えたことで、ほとんど全部のコマ割りを変更しました。後半の構想は既に出来ています。前半では場当たり的にコマを並べたのに対して、シノプシス(梗概)を文字で書いて事件の流れを確かめながらコマ割りを決めて行くつもりです。歳のせいか、わけのわからない悪役やスケールの大きな舞台、銃撃戦などまったく思いつかなかったことを正直に告白しておきます。

キャラクタ−:私達アニメーターは普通キャラクターを(仮に)決め、それをいろいろなポーズやアングルで演技させてみて、必要な表情、表現、誇張などを加えて決定し、以後のモデルシートとして確定します。以上の準備時期に複数の意見が入りますから、旧ルパン、とカリオストロでもかなり違ってきます。
 今回の連載では過去のキャラクターのどれも見ないようにしました。自然に描いたらどうなるのか自分でも見たかったからです。で、結果は思ったよりも子供っぽく可愛くなってしまったようで、素直すぎました。やっぱり習慣に従ってキャラクタ−表をつくるべきだったかなぁ・・と感じて慌ててアニメ風のキャラクタ−一覧表をつくっています。ただし上手に描こうとはしないようには心掛けました。雑誌ではどうだか知りませんが、アニメーションでは髪や眼が細密になり影がいっぱいついて全体として神経質になっている現在の傾向から距離をおきたいからです。
ゲストキャラクターの名前は「峠の茶屋」の常連諸氏のハンドル・ネームを借用させて頂きました。ひどい役回りばかりで御免なさい。

原稿のサイズ:市販の漫画専用紙に直接描いたのは最大の失敗でした。長年動画用紙に慣れていることから主なイメ−ジスケッチは動画用紙いっぱいに描いて、小さなコマのスペ−スに引き写していったのですが、絵も一緒に小さくなってしまいました。 2回目は大きな紙に描いて縮小コピーしてみます。かなり違ってくるはずです。昔旧ルパンの準備でモンキ−さんが動画用紙いっぱいのルパンの顔が描けなくて苦労した挙げ句「大塚さんに任した!」と投げ出したことがありますが、今回はその逆で、私の老眼、乱視がすすんだセイもあって、本当ははじめから大きく描くべきだったのです。

用具:使用したのは古いロットリングと部分的に普通のボ−ルペンでしたが、次回はアメリカ製のカリグラフィー・アーティスト・ペンと、使い慣れた鉛筆(2B)を使ってみて、どちらかいい方を選んでパノラマ堂さんにお願いして縮小コピーしたものを使用するつもりです。

 熱心なルパン・フアンの方々にはちっとも格好よくないルパンに幻滅されたかもしれませんが、今のところ私にとって新しく、描きたかったお話はこんなものだったのです。
茶屋主人敬白



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